山形フィルハーモニー交響楽団



Fg 三浦さん(Durham, USA在住)からのお便りの紹介 1997.12.13
ymiura@acpub.duke.edu

    山フィルのホームページを拝見いたしますと、今回の定期演奏会も成功裏に 終わったようですね、おめでとうございます。アンケートの数々をこちらの音楽愛好 家の人々と楽しく読ませていただきました。

    私も12月11日にThe Village Orchestraの定期演奏会に参加して参りま した。UNC音楽学部のHill Hall Auditoriumuという、ちょっと日本にはあまり見られ ない、天井の非常に高い風格のある建物が会場でありました。観客は山フィルと比べ れば寂しいもので、100人少々といったところでした。しかし、例年は30〜50 人と言っていましたから、それからすれば今年は二倍以上の観客動員です。曲目は前 回の報告を見ていただければおわかりのように、相当「ambitious」なものでしたが 、ことにSchumannの交響曲は我が楽団にとってはtoo much ambitiousでありました。 特にバイオリンパート内のレベルの差が大きく、指揮者はその方々を見切っていたと 妻は申しておりました。その中に演奏中に弦が切れた方がいらして、Schumannの1楽 章中壇上でずっとその修復にとりくんでいたそうであります。逆にチェロパートには 正式な教育を受けてきた方が多く、レベルは非常に高いものがありました。しかし、 妻曰く「MendelssohnとCoplandはまあ聞けたけど、Schumannは曲を知らない人が聞い たら何やってたか全然わかんなかったんじゃないかしら」・・・Schumannってとっ てもいいけど、とっても難しいですね。ハイレベルの山フィルで是非とりくみましょ うよ。さて私個人の印象ですが、プロ級に上手なbassoon principalのChrisさんと、 3番の初心者のDavidさんの間にはさまれて演奏しました。演奏会の最初から最後ま でDavidさんの悪しき誘惑(音程とかいろいろ)を振り切るのに苦心しましたが、な んといってもSchumannを演奏できたことが一番の喜びでありました。

    演奏会のパンフレットにこの楽団の目的は「recreation」とはっきり書いて あり、この言葉が全てを表していると言っても良いのかもしれません。そして、それ は日本の多くのアマオケとの考え方の違いも表していると思います。例えば、Schuma nnの交響曲にはトロンボーンが必要なのですが(当楽団にはいない)、トロンボーン のトラが来たのは当日でした(しかも2本のみ)。壇上に雛壇はもうけられませんで した(会場からは木管の音はほとんど聞こえなかったそうです)。他にも山フィルと の差をあげればきりがありません。どこかのパートが弱いからと言ってプロを入れる ことはありませんでした。チケットノルマはありませんでした(入場無料)。演奏会 後の宴会もありません。そして、特に異なる点は練習日です。練習は厳密に週一回木 曜日だけで、演奏会が近いから土日・祝日も練習しようと言うことには絶対になりま せんでした。アメリカ人にとって金曜日はパーティーの日ですし、土曜もやはりパー ティーかあるいは家族と過ごす日でしょう。日曜は教会の日です。土日・祝日も練習 しようと言い出したら、楽団が崩壊するまえに団員が家族に見捨てられるでしょう。 私も1年半たってこういうことが多少理解できるようになってきました。結局、山フ ィルとVillage Orchestraという2つのアマオケは目指しているものが違うというこ となのでしょう。こちらから見ると山フィルはあまりにも本格指向であり、山フィル から見るとVillage君はあまりにも練習しない、と言えるでしょう。

    しかし、格好いいことを書けば、クラシック音楽を愛する心に日米の差はあ りませんでした。楽団員はみな心うきうきと、そして少しでも良い演奏をしようと、 心地よく緊張して本番に臨んでいました。勇気を奮ってこの楽団に参加して良かった と思います。帰国前の来年5月にSpring Concertがあり、これに参加できることが今 から楽しみであります。

三浦美英



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