Atelier Harlow

アトリエハーロー体験記　　　その１２

＜基本練習の考え方＞

ホルンの発音をするための要素として、今、共通の言葉として①リップ、②シュトゥッツェン、③息の速度の3要素が理解されてきていますが、基本練習とは、わざとバラバラにして吹いてみるアプローチなのです。
①リップだけで頑固に音を上げようとしたらどうなったか？
②シュトゥッツェンだけで頑張ったらどうなったか？
③息の速度の変化だけで頑張ったらどうなったか？
演奏者は、おのずと3要素のバランスを選びながら吹いているです。そのバランスは時にリスクを最小にする為のバランスであったり、リラックスが最良のいい音の目的を絞ったバランスであったり、いろいろの変化があるのです。まず、ある人が、あるバランスで、あるパッセージを、それまで吹いてこれたとする。だけど、あえてそのバランスを変えてみる。それが基本練習ということなのです。
ベートーベン「第９」のH-dur音階はリップの過剰操作をどう食い止めるのかが大切な課題。まず滑らかにシュトゥッツェンと息の速さの変化だけで与えられる音の上昇に伴う自然なクレッシェンドと下降にともなう自然なデクレッシェンドが充分にできてから、記譜とおりにするためにリップの要素をほんの少しだけ加える。木村氏とブラームス3番の1楽章主題がホルンソロで出て来るところの奏法の話をしていたときのことでした。2回目の実音B・・・Des・・・HighB　の HighBへ移行するところで、木村氏は前述の3要素以外の意外な指摘をしました。「指の運びを遅くしてごらん」。1番ピストンを押す速さが遅くするとHighBの到達点の発音がソフトで繊細になる感じがするのでした。

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