アトリエハーロー体験記 その7
<マイスター・キムラのメッセージ>
シュトゥッツェンについて、このホームページを読みました。
一つだけ説明を追加させて下さい。
へその上のリキミの部分ですが、腹筋はへその上下で一体の筋肉ですから、上を
意識して力を入れると自動的に下にも力が入ります。
ですから「下っ腹に力を込める」と言う表現でも良いのです。
説明したかったのは体のどの部分に力を入れれば効果的に音が出せるかと言う意
味で、その意識する場所はへその上側なのです。
私も以前は下っ腹にどうやって力を込めるのかと模索していたので理解出来るの
ですが、へその下側に力が入ってしまうとただ単に力んだ音になり、息もうまく
出て来なく成ってしまいます。
速やかにコツを会得するプロセスとして、こう言う工夫はどうてしょうか。
息を吸い、吸った息が取り込まれた感じをもったら、それがシュトゥッツェンで
息の支えと言う意味です。
ですから吸った息の分が支えの分量です。よりたくさん吸えたらより強い支えが
出来たと言える訳です。
当然、弱く少なく吸うと支えもその分に応じて弱い事になります。
支えとは「力を込めた体に息を吸う、その時の力の入れ方では無く、あくまでも
吸った息で支えられる事」を意味します。
何回か支えるつもりで息をすったりはいたりすると「特定の場所が働いている」
と気付くと思います。
息を吸う前に下っ腹に力を入れなくても、既に下っ腹のほうも働いているので
。
楽器に何が求められているのかをより具体的に見せて貰えるところとして、ウィ
ーン音楽大学ホルン課の授業を見学したいと考えたのは名案でした。「息の支
え」を言う時に、先生の指がへその上を指しているのに気付いてからは、世界中
の先生が全く同じ様にへその上を指差しているのを見ると、大きな勘違いを長い
間して居たのだと後悔した訳です。
へその上と下での働きの違いを観察するには、支える息を摂りながら、自分の指
で自分の腹筋を突いて見ると良いです。
息を吸いながら少し痛く感じる程度に指を突き立てるのですが、その際に突いて
いる指を膨れて来るお腹で押し戻す様にすると、(へその)上ならば連続した呼
吸をしていられるのに(へその)下だと喉が閉まって来てしまいます。その違い
は音質に著しい違いを作ります。
演奏する際には指を使えませんから、その良い音のする位置に神経を集中すると
良いと言いたいのです。
スポーツでの筋肉トレーニングについて本を読むと、筋肉の部位についての意識
の持ち方について解説されています。
とても参考に成ります。
話が長くなりました。
良い音について(注、H.A♂からの質問「よい響きとそうでない響きのききわけ
かたは?」に答えて)ですが、それはこのホームページに書かれて居る通りだと
思うのですが如何でしょうか。
とても良い感じで息が吸えて、支えがしっかりと決まって、スパッと吹いたら良
い感じがした。そう言う時の音が良い音だと思うのです。ベルガーさん(注、ロ
ーラント・ベルガー教授)の様に吹きたいと言う話ですとテーマが違って来てし
まいます。
先の草津(草津国際アカデミー)でラルス(注、VPO首席シュトランスキー氏)
と息について話している時に「もし出来るものならばベルガーの音を写しとって
見たいのだが」と言っていましたから、皆同じ希望を持っているのだと思うので
す。
長くなりました、今日はここで休憩します。キムラ
−休憩後−
息を吸い、何処に息が入ったかを感じ取り、その位置を意識して吹き込むと良
い感じがして、と説明に言葉はつい重複して行きますが、
忘れて居てはいけないのは、試行錯誤する中で一番に楽だった時の感じを選ん
で行く事です。
ガーブラー教授に、「話して聞かせて上手く成った生徒は居ないんだヨ」。と
言われてしまった事がありました。我らのビリバルト先生(注、ヤネシッツ親
父@VPO2番ホルン)からは、「その人がここに来てくれたならば解る様に説
明も出来るかも知れないのだけれど」と言われた事もありました。
説明して理解の及ぶ訳が無いと考えた方が多分正しいのでしょうが、お互いに
ウィーンよりも遠い所に住んで居るのですから、例え何千ものメールを必要と
してもあのハイトーンをものにする迄努力をしてみましょう。キムラ
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